オルソとは?

単的に言えば、中心投影である航空写真を地図と同じ正射投影法に作り変えたものです。デジタルが主流の現在では、デジタルオルソフォト、ネガフィルムなど(銀塩写真)のアナログは正射写真図または、正射投影写真図、オルソフォトなどと呼ばれています。
航空写真のカメラでも、日常私たちが使用しているカメラでも、大きな被写体を小さなフィルムに映像を写すためにレンズを使用する機構になっています。これは、レンズ機構カメラの宿命ですが、像をレンズの1点に集中させ、縮小してフィルムに収めるので、映像は中心投影になってしまいます。

通常の地上写真を見ると、近い所は大きく、遠い所は小さく、道路や建物なども遠近法の映像になります。これと、まったく同じ事が航空写真にも言える訳です。空中からある程度広いエリアを写すので、カメラ位置の真下付近は、真上から見ているように(正射投影のように)写りますが、写真画郭の端の映像は、カメラの位置から斜めに見ているように写ります。
このように航空写真もカメラ直下の中心から放射状に映像が微妙に偏位すると同時に縮尺も地形により、その部分、部分でまちまちになってしまいます。平坦な地形は、偏位量や縮尺変化もそれ程ではありませんが、山間部などの尾根・沢の入りくんだ場所は、複雑な偏位をしています。

ただ、地上写真のように日常見慣れている映像と違い、目視しただけではその偏位の状態がなかなか分かりづらいものです。
このような航空写真も、拡大プリントして壁に貼って、景観を見る・眺めると言うような利用法には十分ですが、"限りなく正射投影"である地図と同じような利用法、特に“計測”など測量的な観点からは不都合があります。
中心投影の航空写真そのままでは、既製の地図や地籍図などをオーバーレイさせても、部分的にしか合わないばかりか縮尺も一定値ではありません。スケールアップでの、距離、面積の計測もおおよその目安程度の値しか得られません。

そこで、解析図化機からの地形データや専用プログラムなどで偏位修正データを作成し、オルソプロジェクターで、映像に部分ごとに適切な正射変換や縮尺変換をかけてフィルムに焼付していくアナログオルソフォト(銀塩写真)と、中心投影航空写真をスキャナーからコンピューターに入力して、専用のソフトで地形データを収録し、デジタル的に正射変換して画像データを作成するデジタルオルソフォトがあります。

どちらの方式も作業工程の中で、作成されたオルソ映像に対して空中三角測量における、公共座標の位置付けや、一定縮尺の算定が認識されています。これらを総称してデジタルオルソフォト、正射投影写真図などと言われています。
 


図-1のような仮想の地形を航空写真に収めると、おおよそ図-2のようなイメージになります。
図-2の斜線の帯が、中心投影による地形の偏位の状態です。正射投影では一定巾のはずですが、中心投影ではこのように、高い所はカメラに近いため巾が広がり山・谷とジグザグの軌跡になります。オルソプロジェクターは、この図-2のジグザグで不均一な斜線の帯部分に沿って光を当てながら進み、連続した透過光映像として取り込みます。

そして、プロジェクター本体内部ユニットの、光学レンズや光学プリズムを通過させることにより映像に、拡大・縮小などの縮尺の均一化や微回転をつけて、一定のスピードで回転している本体後部のドラム内のフィルムに、まっすぐな一本の帯で、ゆがみの無い均一な縮尺の透過光映像として届き、焼付けられます。(図-3)

このような動きで、作成範囲を一本づつステップ、往復して正方形あるいは長方形の一枚の正射変換されたネガフィルムを作ります。
 
図-1 図-2 図-3
 
先に、プロジェクターの"動作"について説明しましたが、この動作をさせるためのデータを作成収録しておかなければなりません。 一つは、解析図化機で作成部分の立体モデルをオペレーターが観測して、図-2の斜線帯の部分を一本づつ、地面をなめるように高さを追っていき(断面走査)地形なりのジグザグ+縮尺率データとして収録します。

もう一つの方法としては、専用のオルソデータ作成プログラムがあります。
アナログ図化機、解析図化機、または実測によって測定されたランダムあるいは、グリットの三次元地形データをあらかじめ収録しておきます。

これに、使用する写真の撮影高度、焦点距離、鉛直点座標、3軸アングル、オルソ縮尺、オルソ作成範囲などを指定し、この三次元立体地形が二次元中心投影になった時、どのように偏位するかを空間後方交会などの演算によって求められます。これにより、図-2のジグザグの軌跡や縮尺変換光学ズーム率などのデータが作成されます。(右図)
 


3次元数値地形データのモデル
コンピューターの性能向上と共に、さまざまなデジタル航空写真計測システムが、開発、公開されており、コンピューティング時代の現在は、アナログよりデジタルオルソのほうが主流になっています。

まず、航空写真をスキャナーにより、デジタル画像データとして取り込みます。最近は、汎用型スキャナーもかなり普及していますが、画像データ自身のピクセル精度の観点では、やはり航空写真専用のスキャナーのほうが優れています。スキャンピクセルの数μの取り込み誤差が、地上測地に換算すると数p、縮尺によっては、数mの誤差になる場合もあります。計測用画像としては、この点も考慮しておく必要があります。

デジタル解析システムでは、従来の解析図化機と同じように、立体モデル標定やシステム内で空中三角測量を行います。次に、自動画像相関(マッチング)により三次元地形データを作成しますが、これは、他の解析図化機や実測データ、レーザープロファイラー地形データを取り込み、使用することも出来ます。

立体モデル標定が完了した時点で、空中写真の撮影高度、焦点距離、鉛直点座標3軸アングルはシステムに認識されるので、この後、使用写真ファイル名、画像作成範囲、解像度を指定し、プログラムを実行させます。

ここでも、三次元地形データを空間後方交会など数種の演算方で、使用する画像と同じ中心投影に換算します。そして、中心投影による変位した位置に対する画像ピクセルを正射投影のグリッドへピクセル単位で移動させます。物理的な表現に例えましたが、実際のプロセスは移動させるのではなく、移動させたい位置にあるピクセルデータを書き換えていく幾何学的で複雑な変換を行っています。

簡単に説明してきましたが、作成するオルソデータの解像度は、目的に応じてあらかじめ決定しておかなければなりません。また、これに最適な解像度で航空写真をスキャンしておく必要があります。

現在は、地理情報システム(GIS)の背景画データとして主流になっています。

   
 
数値地形データから、二次元上での中心投影を演算により求め、対応するピクセルを正射グリットに移動(データ書き換え)させる


 
複雑で急峻な地形においては、写真の偏位量も大きく、正射変換にも限界があり、偏位修正量のあまさや、映像の乱れが起きます。地面に沿った地形データを使用するので、空中に存在する高圧電線、橋などの映像も乱れたりします。

また、正射投影という観点から写真に写っている全ての地物(建物)が、正射されて投影されると思われがちですが、実際は近似正射投影なのでアナログオルソフォトでは不可能でした。

デジタルシステムは、この、建物までも正射変換させる"トゥルーオルソ"が可能です。


地形の起伏を表現する数値地形データと、建物の三次元データを組み合わせると、トゥルーオルソだけではなく、このように任意の視点からの鳥瞰イメージや、ワイヤーフレーム、連続画像による景観アニメーションデータも作成できます。

垂直写真からの作成ですから、写っていない部分(建物の側面、その他隠れている所)はテクスチャーサンプルから、適当な映像を貼り付けたりします。

北海道では、海岸線主用幹線道路の険しい崖地帯の自然崩壊の問題がありますが、コンピューターによるデジタル解析システムは、このように垂直写真に限らず地上・斜め写真から、崩壊地や崩壊予測地をビジュアル的にかつ迅速な現況計測・把握などにも応用できます。



景観アニメーションのサンプリング例


1ピクセルが実測値で約1mです
これでは車の大きさは測れませんね〜
通常 地上解像度50cm 地上解像度1m
一般に、地上解像度3m と言えば、地上最小3m の大きさの物体まで、判読・解析できると思われがちですが、そうではありません。
デジタル画像は、皆さんご存知のとおり正方形のピクセル(ドット)の集合体です。この1ピクセルは単色で、それぞれが映像を表現する色で表示されます。画像範囲を固定して、ピクセルを大きくしていけば、ちょうどモザイクをかけたイメージになります。小さくしていけば、より高画質と言う事になります。
たとえば地上解像度3m とは、この1ピクセルの正方形の大きさが、地上の3m に相当すると言う意味になります。つまり、地上3m に換算した正方形ピクセルで、物体を表現しようとした時、ピクセル列の掛かり方にもよりますが、3m 以内の物体は1ピクセルでつぶれてしまいます。少なくとも、ピクセルサイズの数倍以上の大きさの物体でなければ、測量的に判読できる画像表現は難しいと思われます。
この分野でのデジタル画像の運用において、特に画像で計測する場合には、従来の各工程測量誤差に加えて、このピクセル誤差も念頭に置かなければなりません。
 

 
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